MENU

Google WorkspaceのNotebook LMを組織外の人に追加費用なしで共有する方法 – 無料ライセンスCloud Identity Free Edition (CIF)ってなに?

好奇心にディープダイブ。興味を持って、Deep Researchした結果を、今後も見返したい内容をにまとめています。音声概要を聞いてから、ディープリサーチの結果を見ると理解しやすいです。

情報漏洩を防止するためだとおもいますが、Google WorkspaceのNotebook LMは、基本的に組織内にしか共有ができません。でも、Google Workspaceのアカウントを付与していないスタッフや外注先に共有したいと思ったことがあり、昔教えてもらったGoogle Workspaceに付与できる無料ライセンス「Cloud Identity Free Edition (CIF)」を試してみると、共有ができたので、この機会に改めてCloud Identity Free Edition (CIF)とはなんなのか調べようとGeminiディープリサーチを行い、音声概要をつくり、知識を深めました。

目次

追加費用なしで、Google Workspaceのアカウントを付与していないスタッフや外注先にNotebook LMなどを共有する手順

  1. Google Workspaceの管理画面で、Business Standardなど有料プランの自動割り当てを「オフ」にする
  2. (ユーザーを追加して、)Cloud Identity Free Edition (CIF)を利用するユーザーにライセンスを割り当てる
  3. 上記のユーザーでログインして、Notebook LMやGoogleドライブ(ファイルの編集はできるが、新規作成はできない)にアクセスする

Cloud Identity Free Edition (CIF)を活用すると、追加費用なしに、NotebookLMを共有することができる。CIFの主なターゲットユーザーは、GmailやGoogleカレンダーなどを日常的に使用しない業務委託先などに、Google Cloud PlatformやGoogleドライブなどの権限を付与するために利用できて、Notebook LMもその範囲に含まれている。Google Meetにも入れた(ミーティングを作成することはできない)


以下、GeminiでのDeep Reseachと音声概要


Cloud Identity Free Edition (CIF) 徹底分析レポート:アイデンティティ基盤、Google Workspace連携、および次世代AIサービス互換性

Cloud Identity Freeの真実:無料ID管理の価値とGemini連携・データ保護の限界【AI時代のコスト最適化戦略】

I. エグゼクティブ・サマリーと戦略的位置付け

1.1. Cloud Identity Free (CIF) の戦略的価値とターゲットユーザー

Cloud Identity Free Edition (CIF) は、Googleが提供するIdentity as a Service (IDaaS) ソリューションであり、Google Workspaceのコアサービス(Gmail、Google Calendarなど)を必要としないユーザー群に対し、無料でエンタープライズグレードのアイデンティティ管理機能を提供するよう設計されている [1, 2]。

CIFの戦略的価値は、組織全体のアイデンティティ統合を、生産性向上スイートのライセンスコストに依存せずに実現できる点にある。具体的には、このサービスを利用することで、組織はGoogle Cloud Platform (GCP) リソースへのアクセス管理や、サードパーティのSAMLアプリケーションへのシングルサインオン(SSO)を、全従業員にわたって展開することが可能となる。

CIFの主なターゲットユーザーは、情報労働者ではないユーザー層、すなわち、電子メールやカレンダーを日常的に使用しない従業員に焦点を当てている。これには、工場労働者、共有キオスク端末の利用者、特定のIT管理者(GCPアクセスのみが必要な者)、またはサードパーティのSaaSアプリケーションへのSSO機能のみを必要とするユーザー層が含まれる。この分離戦略により、ライセンスコストの最適化が可能となる。

1.2. 主要な調査結果とハイレベルな推奨事項

本調査により、CIFはSSOや2段階認証(2SV)といった堅牢なアイデンティティ基盤を提供するものの [1]、コアなGoogle Workspace機能(Gmail、Calendar、ユーザーごとの専用ストレージ)は利用できず [2]、エンタープライズクラスのデバイス管理機能やセキュリティ機能(Context-Aware Access、Advanced EMM)が提供されないという機能的な境界線が明確になった [2]。

AIサービスの互換性については、以下の結論が導かれる。

  • Gemini Apps (基本アクセス): CIFアカウントでアクセス可能だが、このアクセスはしばしば「エンタープライズグレードのセキュリティとプライバシー」が適用されないカテゴリーに分類される [3]。機密データを扱う部門で利用する場合、データガバナンス上のリスクを回避するためには、有料のGeminiアドオンの導入が必須となる。
  • NotebookLM Enterprise: CIFはNotebookLM Enterpriseの認証基盤の一部として機能し得るが [4]、サービス自体の利用には通常、IAMロール(Cloud NotebookLM User)の付与が必要であり [4]、CIF単体では機能しない可能性が高い。

II. Cloud Identity Free (CIF) のアーキテクチャ基盤とディレクトリサービス

2.1. コア・アイデンティティ機能:SSO、2SV、セキュリティキーの適用

CIFエディションの最も強力な利点は、その無償性にもかかわらず、Google Workspaceユーザーと同等のアイデンティティサービスを提供することである [1]。これにより、組織は統一されたセキュリティポリシーを適用できる。

サポートされるセキュリティ機能には、シングルサインオン (SSO)、2段階認証 (2SV)、および2SVのためのセキュリティキーの利用が含まれる [2]。これにより、組織は多要素認証を容易に展開し、アカウントの乗っ取りリスクを大幅に軽減できる。

SSO連携機能は、IDaaSとしてのCIFの主要な役割を担う。組織はGoogleをIdP(Identity Provider)として設定し、サードパーティのSAMLアプリケーションやカスタムSAMLアプリケーションへのSSOを設定することが可能である [2]。さらに、Microsoft Entra IDなどのサードパーティIdPをGoogleのSP(Service Provider)として使用するSSO設定もサポートされており [2]、既存のアイデンティティ環境とのハイブリッド統合を可能にする。

2.2. ディレクトリおよびユーザーライフサイクル管理の詳細

CIFは、ユーザーの作成、管理、およびグループの作成と管理といった基本的なディレクトリ管理機能を提供する [1, 2]。特筆すべきは、組織部門(OU)とグループの作成が無制限に許可されている点であり [2]、大規模組織の複雑な階層構造のモデル化を無償で実現できる。

ライセンスの容量についても柔軟性が提供される。CIFはデフォルトで50ユーザーライセンスを付与するが [5]、管理者はGoogle Admin consoleを通じて追加の無料ライセンスをリクエストできる [5, 6]。組織が有料のGoogle Cloudサービス(Google Workspaceなど)を追加購入した場合、ユーザーキャップは自動的に増加する仕組みとなっている [6]。

2.3. Google Cloud Directory Sync (GCDS) によるハイブリッド連携

ハイブリッドアイデンティティ環境の構築を可能にするGoogle Cloud Directory Sync (GCDS) は、Cloud Identity Freeで完全にサポートされている [1, 2]。この機能により、組織はMicrosoft Active DirectoryやLDAPディレクトリといったオンプレミスのアイデンティティソースとCloud Identityのディレクトリを同期させることができ、既存のインフラストラクチャへの投資を維持しつつ、Googleエコシステムへのアクセスを管理できる。GCDSのサポートは、CIFをエンタープライズ環境における重要なIDaaSコンポーネントとして位置づける。

2.4. 管理コンソールおよびAPIによる自動化機能の範囲

CIFは、管理者の作業を支援するための豊富なツールを提供する。管理者ロールと権限の割り当て機能が利用可能であり [1]、Google Workspace Admin SDKを使用したカスタム管理ツールの構築もサポートされている [1]。また、Apps ScriptやAPIを利用してタスクの自動化を行うことができ [2]、ユーザーのプロビジョニングやディレクトリ管理の効率化に貢献する。

しかし、サポート体制には重要な違いがある。Cloud Identity Freeのユーザーは主にGoogle Cloud Communitiesを通じてサポートを求めることになる [2]。これに対し、Cloud Identity Premiumでは、24時間年中無休のEmail、電話、チャットサポートが提供され、99.9%のSLA(サービスレベルアグリーメント)が付帯する [2]。ミッションクリティカルなシステムを運用する場合、このサポートレベルの差異が意思決定に大きな影響を与える。


III. Google Workspace機能の利用制限とライセンス境界

3.1. 利用不可機能: コア生産性ツール(Gmail, Calendar, Chat)の分析

Cloud Identity Free Editionは、GmailやGoogle CalendarといったGoogle Workspaceの中核的な生産性向上サービスを必要としないユーザーを対象に設計されている [2]。したがって、CIFライセンス単独では、これらのコアサービスを利用することはできない [1]。

この設計は、Google Workspaceライセンスが特定のサービスへのアクセス権を付与するものであり、CIFがアイデンティティ管理とライセンスを切り離すデカップリング戦略の要であることを示している。ビデオ会議機能については、Essentials Starterなどのエディションを通じて基本的なGoogle Meet機能は利用可能になる場合があるが [7]、録画や大規模な参加者上限など、プレミアムな会議機能は上位のWorkspaceライセンスに依存する。

3.2. 利用可能機能: ドキュメントエディタ(Docs/Sheets/Slides)およびドライブ機能の利用可能性

CIFユーザーは、アイデンティティが確立されている限り、特定のコラボレーション機能を利用することが可能である。具体的には、Driveの共有権限、Connected Sheets、およびGoogle Drive for desktopの利用がサポートされている [2]。これは、CIFアカウントが、他のユーザーが作成・所有するドキュメントへのアクセス、基本的な閲覧、編集、および共有設定操作を実行できることを示している。

3.3. ユーザーごとのストレージモデルとプールストレージの扱い

CIFのライセンス構造における最も重要な技術的特徴の一つは、ストレージモデルにある。CIFユーザーにはユーザーごとの専用ストレージが「None(なし)」と明記されている [2]。

しかし、CIFユーザーがDrive for desktopやDocsを編集できるという事実は、彼らが作成または編集したデータがどこかに保存されなければならないことを示唆している [2]。このデータは、CIFユーザーが個別のストレージを持たないため、組織内でGoogle Workspaceライセンスを持つユーザーによって生成された「Google Workspace pooled storage」に依存して格納されると分析される [2]。

この構造は、CIFユーザーが自身でデータを所有・保管するアカウントではなく、組織の共有リソースへのアクセスを仲介するアクセス専用アカウントとしての役割を強調している。このモデルは、組織のデータガバナンス戦略において、データ資産の所有権が有料ライセンスユーザーまたは共有ドライブに集中するという隠れたパターンを形成する。IT部門は、CIFユーザーが作成・編集するデータに関するDLPやVault(データ保持)ポリシーを、有料ライセンスのストレージプールに集中させる戦略を設計する必要がある。

3.4. CIF環境におけるGoogle Workspace機能の「基本」利用と「プレミアム」機能の比較

Cloud Identity FreeとGoogle Workspaceの機能的な境界を理解することは、ライセンス最適化戦略の基礎となる。以下の表に示すように、特にストレージ、電子メール、および高度なコンプライアンス機能(データレジオンなど)において、明確な非対称性が存在する。

Table 1: Cloud Identity FreeとGoogle Workspace機能の境界線

機能Cloud Identity Free (CIF)Google Workspace (最低限必要なライセンス)備考
Gmail / Google Calendar✕ (利用不可)Business Starter以上コア生産性サービスはライセンス必須 [1, 2]
Google Drive (専用ストレージ)0 GB (None)Business Starter (30 GB)CIFユーザーは専用ストレージを持たない [2, 8]
Google Docs / Sheets / Slides基本的な編集・共有 (可能)なし (Identity確立で可能)高度な機能(Gemini統合など)は不可 [2]
Connected Sheets✓ (利用可能)なしデータのコネクタ機能はサポート [2]
Drive Sharing Permissions✓ (利用可能)なし共有設定の適用が可能 [2]
Enterprise Data Regions✕ (利用不可)Enterprise Plusデータレジオン制御は高度なセキュリティ機能 [8, 9]

IV. デバイスおよびエンドポイント管理の機能比較分析

4.1. CIFにおける基本的なモバイルデバイス管理(MDM)機能

Cloud Identity Freeは「Fundamental endpoint management(基本的なエンドポイント管理)」機能を提供し、デバイスセキュリティの基盤を確立する [2]。

CIFで利用可能な主要なMDM機能には、モバイルデバイスへの画面ロックまたはパスコードの強制 [1, 2]、デバイスのリモートワイプ [1]、デバイスの詳細情報の表示・検索・エクスポート [1]、推奨アプリのホワイトリスト化 [1]、およびモバイルデバイスイベントの表示 [1] が含まれる。管理者は、モバイルデバイス管理を自動化するためのルールを定義することもできる [1]。

また、Windowsデバイスに関しては、Google Credential Provider for Windows (GCPW) のスタンドアロン版の利用がサポートされている [2]。

4.2. Cloud Identity Premiumとの機能的差異

堅牢なエンドポイントセキュリティの要求が高まるにつれて、CIFとCloud Identity Premiumの機能的な境界はより重要になる。CIFは、Premiumエディションで提供されるAdvanced Endpoint Management機能を欠いている [2]。

Premium版のみが提供するAdvanced機能には、強力なパスコード強制、モバイルデバイスのネットワーク管理(VPNなど)、詳細なモバイルデバイスセキュリティポリシー、およびAndroidデバイス上で業務データと個人データを分離するためのAndroidワークプロファイルの作成機能が含まれる [2]。

さらに、Enterprise Endpoint Managementに分類される高度な機能、具体的にはiOSデータ保護、モバイルデバイス証明書の利用、そしてContext-Aware Access(コンテキストアウェアアクセス)に基づいたアクセス制御は、Premiumエディションでのみ利用可能である [2]。

4.3. セキュリティ戦略におけるCIFの限界とContext-Aware Accessの必要性

Cloud Identity Freeが提供するアイデンティティと基本的なMDM機能は、セキュリティの最低限の要件を満たすが、ゼロトラストアーキテクチャへの移行を目指すエンタープライズにとって、Context-Aware Accessの欠如は重大な限界となる [2]。

Context-Aware Accessは、ユーザーのアイデンティティだけでなく、デバイスの健全性、ロケーション、IPアドレスといったコンテキスト情報に基づいてGoogle Cloudリソースへのアクセスを動的に制御する。CIFではこの機能が提供されないため、アイデンティティが有効である限り、コンプライアンス違反のデバイスや安全でない場所からのアクセスを制限することが困難になる。

したがって、モバイルデバイスやBYODデバイスが企業リソースにアクセスする場合、デバイスの健全性やセキュアな状態に基づく制御ができないため、アイデンティティ盗用後のリスクやデータ漏洩リスクが高まる。強固なゼロトラスト戦略を確立するためには、Cloud Identity Premiumへの移行が不可欠である。

Table 3: Cloud Identity Free vs. Premium – アイデンティティとエンドポイント管理機能マトリックス

機能カテゴリーCloud Identity FreeCloud Identity Premium戦略的影響
ディレクトリ管理 (OU, グループ)基本管理、無制限 [2]基本管理、無制限 [2]ディレクトリ構造の構築は無償で可能
Google Cloud Directory Sync (GCDS)✓ [2]✓ [2]AD/LDAP連携によるハイブリッドID環境構築の費用対効果が高い
2段階認証 (2SV) / セキュリティキー✓ [2]✓ [2]コアセキュリティ機能は同等に提供される
SSO (サードパーティSAMLアプリ)✓ [2]✓ [2]IDaaSとしての基本機能は確保されている
基本的なMDM (パスコード強制, リモートワイプ)✓ [1, 2]✓ [2]基礎的なモバイルセキュリティ要件に対応
高度なMDM (Android Work Profile, 強力なパスコード)✕ [2]✓ [2]BYOD環境のセキュリティリスクを抱える
Context-Aware Access (コンテキスト依存アクセス制御)✕ [2]✓ [2]ゼロトラスト・セキュリティの実装にはPremiumが必須
サポートレベルGoogle Cloud Communities24×7 Email/Phone/Chat, 99.9% SLA [2]ミッションクリティカルな環境ではサポートレベルがボトルネックになる

V. 高度なAIサービス統合:Geminiのアクセスとデータ処理

5.1. Gemini for Google Workspaceアドオンのライセンス要件

Google Workspace環境内で、組織のデータに基づいたコンテキスト依存のAI機能(Grounded Response)を利用するためには、Gemini for Google Workspaceアドオンが必要である。これは、基本となるGoogle Workspaceライセンス(Gemini BusinessまたはEnterprise)に追加して購入する必要がある [3]。

この有料アドオンが適用されると、Geminiは組織内の関連コンテンツ(メール、ドキュメントなど)を検索し、その情報に基づいて応答を生成する機能を提供する [10]。このエンタープライズ統合の最大の利点は、データ保護基準の高さにある。有料版のGemini for Google Workspaceは、ユーザーのコンテンツがモデルトレーニングに利用されないこと [10, 11]、およびHIPAAワークロードをサポート可能であること [11] など、厳格なデータ保護措置を講じている。

5.2. Cloud Identity FreeアカウントでのGemini Appsへのアクセスレベルとデータ保護の差異

ワークアカウントを持つほとんどのユーザー(Cloud Identityアカウントを含む)は、Gemini Appsへの基本アクセス権を持つ可能性がある [3]。しかし、この「基本アクセス」の定義と、有料アドオンで提供されるサービスには決定的な質的差異が存在する。

CIFやEssentials Starterのような基本アカウントがGemini Appsを利用する場合、その利用はしばしば「エンタープライズグレードのセキュリティとプライバシー」が適用されないアクセスとして分類される [3]。このアクセスレベルでは、プロンプトの利用制限(例:Gemini 2.5 Proで1日あたり5プロンプトまで)や [3]、利用可能なモデルの制限が存在する。

最も重要な懸念は、データ保護の境界である。CIFユーザーが機密性の高いプロンプトや社内データをGemini Appsに入力した場合、有料アドオンユーザーに適用される厳格な保護(モデルトレーニングからの除外など)の対象外となるリスクが高い。この状況は、AI利用におけるデータガバナンス戦略における重大な盲点となる。企業機密を保護するためには、CIFユーザーのAI利用を厳しく制限するか、機密データを扱うユーザーに対しては、Geminiアドオンを含む有料ライセンスを配布する必要がある。

5.3. Gemini Code Assistと企業アイデンティティの分離

開発プロセスにおけるAI支援に関して、Gemini Code Assistの無料版は、企業アイデンティティとは完全に分離された利用モデルを採用している。無料版のGemini Code Assistを利用するためには、Cloud IdentityまたはGoogle Workspaceに関連付けられていない個人Gmailアカウントでサインインすることが要件とされている [12]。

この要件は、企業環境でのコンプライアンスとセキュリティに大きな課題をもたらす。開発者が企業のソースコードをAI支援のために使用する場合、企業のIAM制御外にある個人アカウントを使用しなければならないため、ソースコードの機密性保持や監査におけるコンプライアンス上の懸念が顕著になる。エンタープライズでの安全な利用には、有料のエンタープライズソリューションが必要である。

Table 4: Gemini Apps アクセスレベルとデータ保護の階層構造

ユーザーアカウントタイプアクセス権セキュリティ/データ保護プロンプト制限 (2.5 Pro)
Cloud Identity (Free/Premium) / EssentialsGemini Apps (追加サービス) [3]エンタープライズ保護なし/制限付き [3]Up to 5 prompts / day [3]
Google Workspace Business Plus / Enterprise StandardGemini Apps (コアサービス) [3]エンタープライズ保護あり [3]Up to 100 prompts / day [3]
Google Workspace + Gemini Enterprise Add-onExpanded Access [3]エンタープライズ保護あり [3]Up to 500 prompts / day [3]
個人Googleアカウント (Gemini Code Assist Free)Gemini Code Assist [12]✕ (Cloud Identityアカウント除外) [12]N/A

VI. ナレッジ管理AI:NotebookLM Enterpriseの利用可能性検証

6.1. NotebookLM Enterpriseの認証メカニズム

NotebookLM Enterpriseは、高度なナレッジ管理とAI処理を提供するサービスであり、その認証基盤にはCloud IdentityまたはサードパーティのIdP(Microsoft Entra ID、Okta、Pingなど)が使用される [4]。CIFはCloud Identityの一部であるため、理論上、CIFアカウントはNotebookLM Enterpriseへの認証プロセスを通じて、アイデンティティを確立することが可能である。

標準版のNotebookLMは個人Googleアカウントでの認証を要求し [4]、Google Docs/Slides、PDF、YouTube動画などをソースとして利用でき、利用制限が適用される [4]。

6.2. CIFアカウントでNotebookLM Enterpriseを利用するための潜在的なライセンス/IAMロール要件の推察

NotebookLM Enterpriseの利用可能性を判断する上で、アイデンティティの確立(認証)と、サービス利用の権限付与(認可)を明確に区別する必要がある。

NotebookLM Enterpriseへのアクセス権を付与するためには、認証後にユーザーに対してCloud NotebookLM UserのIAMロールを付与する必要がある [4]。このIAMロールの要件は、サービスへのアクセスがCloud Identityの無料ID提供機能だけでなく、Google CloudのIAMおよび課金体系によって制御されることを強く示唆している。

NotebookLM EnterpriseがGoogle CloudのGenerative AI Serviceであり、該当する契約条項に従うという事実 [4] から、CIFアカウントが認証基盤を提供し得るとしても、サービス自体の利用には追加のGoogle Cloud費用や特定の有料ライセンス(例えば、Gemini Enterpriseや関連するGoogle Cloudサービスの有効化)が前提として必要となる可能性が極めて高い。したがって、CIFアカウントが単体で追加費用なしにNotebookLM Enterpriseを利用できる可能性は低いと結論づけられる。

6.3. NotebookLMのデータソース、使用制限、およびデータレジデンシーに関する考慮事項

標準版NotebookLMでは、ユーザーはDocs/Slides、PDF、YouTube動画、オーディオファイルなど様々なデータソースを取り込める [4]。標準版の利用制限は厳格であり、例えば、1ユーザーあたり100ノートブック、ソースあたり50万語または200MB、1日あたり50クエリといった上限がある [4]。

標準版ではデータレジデンシーを指定できない [4]。エンタープライズ版はコンプライアンス対応のためにこの機能を提供する可能性があるが、Cloud Identity Freeアカウントは、Google Workspace Enterprise Plusなどで提供される高度なデータレジオン制御機能とは連携できないため、データ保管場所の指定に関する柔軟性は期待できない。


VII. ライセンス戦略と費用対効果の推奨事項

7.1. ユーザーキャップの管理と追加ライセンスのリクエストプロセス

Cloud Identity Freeは、デフォルトで50ユーザーの初期容量を提供する [5]。大規模組織において50ユーザーを超える無料ライセンスが必要となった場合でも、追加費用は発生しない。管理者はGoogle Admin consoleにサインインし、サポートリクエストフォームを通じて追加の無料ライセンスをリクエストすることができる [5]。この無償での拡張性は、組織全体のIDaaS基盤をコストをかけずに構築できるという大きなメリットをもたらす。

7.2. Cloud Identity FreeからPremiumまたはGoogle Workspaceへのアップグレードパス

組織は、ユーザーのニーズに応じて柔軟にライセンスを混在させることができる。CIFのサブスクリプションをキャンセルする必要はなく、Cloud Identity PremiumやGoogle Workspaceのサブスクリプションを既存のCIF環境に追加することができる [13]。これにより、情報労働者にはWorkspaceライセンスを、非情報労働者にはCIFライセンスを割り当てるハイブリッドなライセンス戦略が可能となる。

Premiumへのアップグレードは、Admin ConsoleのセクションからCloud Identity Premiumの無料トライアルを開始する手順で進められる [13, 14]。

7.3. ハイブリッド環境におけるCIFとWorkspaceライセンスの混在利用戦略

CIFの戦略的な適用により、Google Workspaceライセンスのコスト最適化が図られる。GmailやCalendarを必要とする情報労働者のみに有料ライセンスを割り当て、GCPアクセスやSSOのみを必要とするユーザーにはCIFライセンスを割り当てることで、ライセンス費用を実態に合わせて大幅に削減できる [1]。

ただし、戦略を実行する際には、CIFユーザーのデータが専用ストレージを持たないという事実に基づき、データガバナンス上のルールを厳格に定義する必要がある。CIFユーザーが作成するドキュメントは、有料ライセンスユーザーのプールストレージに依存するため、データ所有権と保管(Vault/DLP)に関するポリシーが、有料ライセンスのストレージプールに集中するように設計されなければならない。

7.4. Geminiおよび高度なセキュリティ機能導入のためのコスト影響分析

Cloud Identity Freeは、コアアイデンティティ管理において優秀な選択肢であるものの、高度なエンタープライズ要件を満たすためには、コストが発生する移行が必須となる。

Context-Aware Accessや強力なモバイルデバイス管理といったゼロトラスト環境の基盤機能、および企業データレジオンの適用はCIFでは利用できないため、これらのセキュリティ要件が発生した時点で、Cloud Identity Premium、Enterprise Plus、または関連する上位エディションへの移行が不可避である [2, 8]。

同様に、機密性の高い企業データを保護し、モデルトレーニングからの除外を保証するエンタープライズグレードのAI保護機能(Gemini for Google Workspace)を利用するためには、WorkspaceライセンスとGeminiアドオンの導入が必須となる [3]。結論として、CIFはアイデンティティの無償基盤を提供するが、ゼロトラスト、コンプライアンス、および高度なAIの導入は、有料サービスへのアップグレードを前提とする。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

大阪で小さい会社を経営しています。
よく「まじめか!」ってツッコまれます。

目次