沖縄で小柄な馬(与那国馬かな?)を見かけたとき、ふと気になりました。「馬力」という言葉があるけれど、馬にも体格のちがいがある。馬力は、どの馬を基準したものなのか?素朴な疑問から、好奇心にディープダイブしました。
蒸気機関を広めたい人たちが、機械が「一日中動き続けられる」点を示したくて、荷役馬が長く働く姿を手がかりにしました。工学的な厳密さより、蒸気機関の良さを伝えるための宣伝に近い考え方として生まれた単位だったみたい。また、同じ「500馬力」でも、ヤード・ポンド法を基準とする「HP」とメートル法を基本とする「PS」があって、ちょっと基準が違うみたい。
好奇心にディープダイブ。友だちと話しているときに、「この間、ディープリサーチしたんだけどね〜」という話題がよくでるようになり、音声概要を一緒に聞いたり、Googleドキュメントにして送ったりする機会が増えてきたので、調べて面白かった結果を公開しておくことにしました。
ここより下は、Googleの生成AI「Gemini(ジェミニ)」によって作成されたコンテンツです。音声概要を聞いてから、読むと、理解しやすいです。ところどころ付与されている数字は引用元一覧とリンクしています。**など、生成AIらしい出力は、わざと消していません。
音声概要 ▶ 馬力誕生の秘密:ワットの天才的マーケティング戦略と、HP・PSに隠された「あの馬」の正体
【素朴な疑問】馬力と言いますが、馬にもサイズがあります。どの馬が基準ですか?
I. 序論:「馬力」という単位に内包される論理的疑問
「馬力と言いますが、馬にもサイズがあります。どの馬が基準ですか?」
このご質問は、計測学の歴史における根源的な問い、すなわち「いかにして曖D. B. 昧な生物学的基準が、厳密な物理的標準へと置き換わってきたか」という問題の核心を的確に突いています。馬という生物学的実体は、品種、サイズ、年齢、健康状態によってその能力が著しく変動するため、本質的に精密な科学的単位の「基準」としては不適格です。
ご質問者が直観されたこの論理的な矛盾こそが、単位「馬力(Horsepower)」の成立史における最大の焦点でした。
本報告書の目的は、この「馬」という生物学的実体から「馬力」という工学的単位への「抽象化」および「標準化」のプロセスを、歴史的背景と物理的根拠に基づき詳細に解明することにあります。
本報告書は、まずジェームズ・ワットによる「馬力」の創設とその商業的な意図を分析します。次に、ご質問の核心である「基準となった馬」の正体を特定し、それがどのようにしてヤード・ポンド法における厳密な物理定義「英馬力(HP)」へと昇華したかを解説します。さらに、メートル法の台頭に伴って誕生した第二の馬力「仏馬力(PS)」の成立経緯と、それが英馬力と異なる値を持つに至った計測学的な理由を明らかにします。最後に、これら二つの「馬力」が、現代の国際単位系(SI)における「ワット(W)」へといかにして収斂されていったかを示します。
II. ジェームズ・ワットによる「馬力」の創設:蒸気機関という「人工馬」の誕生
歴史的背景:産業革命の動力需要
「馬力」という単位は、18世紀後半のイギリスで起こった産業革命の熱気の中で誕生しました。この時代、鉱山に溜まる地下水の排水、あるいは工場の機械を駆動するための動力源として、従来の水車や馬の力(馬力・ばりき)は限界に達しつつありました。
スコットランドの技術者ジェームズ・ワットは、既存のニューコメン型蒸気機関を劇的に改良し、効率的で強力な新しい動力源を開発しました 1。しかし、彼には技術的な課題とは別に、もう一つの重大な課題がありました。それは、この革新的な「人工の動力」の価値を、いかにして保守的な顧客、すなわち鉱山主や醸造所の経営者たちに理解させ、購入してもらうかという問題でした。
マーケティング単位としての「馬力」
ワットの顧客たちは、物理学の難解な計算式(例えば「フィート・ポンド毎秒」)には関心がありませんでした。彼らが理解できる唯一の動力コストは、「馬」でした。彼らのビジネスは、粉挽き臼やポンプを動かすために「馬を何頭雇い、その飼葉代や維持費がいくらかかるか」という経済単位で回っていました。
ワットが考案した「馬力(Horsepower)」は、この点において歴史的な発明でした。それは純粋な物理単位としてではなく、既存のビジネス言語(馬の労働コスト)と、新しい技術(蒸気機関の性能)とを「換算」するための、極めて実用的な「商業・マーケティング単位」として創設されたのです。
ワットは、自身の蒸気機関が「馬何頭分の仕事ができるか」を提示しました。これにより、顧客は「このエンジンを導入すれば、現在飼っている馬10頭分のコストが削減できる」と即座に経済的価値を計算できたのです。この戦略的単位の導入こそが、蒸気機関の普及を爆発的に加速させた要因の一つとなりました。
III. 基準となった「馬」の特定:荷役馬(Draft Horse)の仕事率
では、ご質問の核心である「どの馬が基準か?」について回答します。ワットが基準として参照したのは、競馬で速度を競うサラブレッドや、小型のポニーではありませんでした。
基準となったのは、当時のイギリスで最も一般的かつ強力な動力源であった「標準的な荷役馬(standard draft horse)」です 1。これらは、醸造所で重い樽を運び、鉱山で水を汲み上げ、あるいは粉挽き臼を一日中回すために使われていた、大型で力の強い作業馬でした。
「最大」ではなく「持続可能」な仕事率の選択
ここで、一つの重要な矛盾の分析が必要です。研究によれば、実際の馬、特に競走馬などは、短時間であれば 3馬力(PS)ほどの最大仕事率を発揮できることが知られています 3。もしそうなら、なぜワットは 1馬力 という、馬の実際の能力よりも著しく低い値を「1」として定義したのでしょうか。
この問いの答えにこそ、ワットの定義の本質があります。ワットが販売していた蒸気機関の最大の「売り」は、短距離走のような瞬発力ではなく、休憩も食事もなしに24時間稼働し続けられる「持続力」でした。
したがって、ワットがモデルとした荷役馬も、短時間で全力を出す姿(最大仕事率)ではなく、1日の労働時間(例えば8時間)を通じて持続的に発揮できる「平均的」かつ「持続可能」な仕事率である必要がありました。
つまり、「1馬力」の定義は、馬の生物学的な最大能力を計測したものではなく、終日の経済活動における「平均的な持続力」を、工学的にモデル化した数値なのです。3 が示す「馬の最大仕事率は1馬力より大きい」という事実は、ワットの定義と矛盾するものではなく、むしろワットの定義が「経済的・工学的」な意図に基づいていたことを強力に裏付けるものです。
IV. 英馬力(HP)の物理的定義:ヤード・ポンド法による「馬」の抽象化
ワットは、この「標準的な荷役馬の持続可能な仕事率」を、彼が使い慣れたヤード・ポンド法を用いて定量化(数値化)する作業に取り掛かりました。
「33,000 ft·lbf/min」の算出根拠
ワットの馬力の定義は、「1分間につき33,000フィート・重量ポンド(33,000 ft-lbf/min)」と定められました 4。
この 33,000 という数値の由来については、ワット自身が醸造所の馬を観察した結果に基づくという通説が有力です。その観察によれば、馬は直径 24フィート(半径 12フィート)の円を描きながら粉挽き臼を回しており、1分間に 144回(= 1時間に 2.5回)その円を周回し、約 180 重量ポンド(lbf)の力で引き続けていたとされます。
ここから仕事率を計算すると、
1分間に進む距離: $144 \times (2 \times 3.1416 \times 12 \text{ ft}) \approx 10,900 \text{ ft/min}$
仕事率: $180 \text{ lbf} \times 10,900 \text{ ft/min} = 1,962,000 \text{ ft}\cdot\text{lbf/min}$
(※この計算は一般的な逸話と異なるため、別の説を検討します)
より一般的に引用される逸話では、馬が 180 重量ポンド(lbf)の力で、1分間に 181 フィート(ft)の距離を進む(180 lbf × 181 ft/min ≈ 32,580 ft·lbf/min)といった実測値が得られたとされています。
ワットは、この実測値 32,580 を、意図的に「33,000」というキリの良い数値に切り上げたとされています。これは、彼の蒸気機関が顧客の期待(=標準的な馬の性能)を確実に「上回る」ようにするための、巧妙なマーケティング戦略でした。顧客は「10馬力」のエンジンを購入すれば、実際には馬10頭分よりわずかに強力な仕事率を確実に得ることができ、その性能に満足したのです。
「550 lbf·ft/s」への標準化
このワットによるオリジナルの定義「33,000 ft·lbf/min」は、のちに物理学でより標準的な「秒」単位に換算されました。
計算は単純で、1分 = 60秒 ですから、
$33,000 \text{ (ft}\cdot\text{lbf/min)} \div 60 \text{ (s/min)} = 550 \text{ (ft}\cdot\text{lbf/s)}$
となります。
これが、1 に記載されている「1秒間につき550重量ポンド (lbf) の重量を1フィート (ft) 動かすときの仕事率」(550 lbf·ft/s)の正体です。
この定義が確立された瞬間、「馬力」はご質問者が疑問に思われた「馬のサイズ」という生物学的曖昧さから完全に切り離されました。単位は「ft(フィート)」「lbf(重量ポンド)」「s(秒)」という物理量のみによって厳密に規定される「工学単位」へと抽象化されたのです。
この単位は、後にイギリス(Imperial)のヤード・ポンド法における標準となったため、「英馬力(Imperial Horsepower)」と呼ばれ、記号「HP」が使われます。国際単位系(SI)であるワット(W)に換算すると、1 HP = 550 lbf·ft/s は、約 745.7 W となります 2。
V. メートル法における「もう一つの馬力」:仏馬力(PS)の誕生
ワットが「英馬力(HP)」を定義した後、19世紀のヨーロッパ大陸(特にフランスやドイツ)では、ヤード・ポンド法に代わり、より合理的で十進法に基づいた「メートル法」が標準単位系として急速に普及していました。
大陸の技術者たちも、ワットが発明した「馬力」という単位の利便性を高く評価し、自国の工学分野で採用したいと考えました。しかし、HPの定義(ft, lbf)はメートル法(m, kgf)と互換性がありません。そこで彼らは、「馬力」をメートル法で「翻訳」し、再定義する必要に迫られました。
仏馬力(PS)の定義:「75 kgf·m/s」
このメートル法への翻訳の際に、計測学の歴史における極めて興味深い「トレードオフ」が発生しました。
まず、英馬力(1 HP)を正確にメートル法に換算するとどうなるでしょうか。4 によれば、1 HP = 550 lbf·ft/s は、約「76.04 kgf·m/s」(キログラム重量・メートル毎秒)に相当します。
もし大陸の技術者たちが「英馬力との厳密な一致」を最優先するならば、1馬力 = 76.04 kgf·m/s と定義すべきでした。しかし、工学的な計算を行う上で「76.04…」という半端な数値は非常に不便です。
彼らは「厳密性」よりも「実用性」を選びました。4 が示すように、彼らはワットの定義(76.04)に「近く」、なおかつ「キリの良い値(a round number)」として、「75 kgf·m/s」という新しい定義を採用したのです。
$1 \text{ PS} = 75 \text{ kgf}\cdot\text{m/s}$
この「利便性のための丸め」という決定により、ワットが定義した英馬力(HP)とはわずかに異なる、第二の「馬力」がヨーロッパ大陸で誕生することになりました。
このメートル法馬力は、ドイツ語で「馬の力」を意味する「Pferdestärke」(記号:PS)4、あるいはフランス語の「Cheval-vapeur」(記号:CV)と呼ばれました。日本では主にドイツ語由来の「PS」が「仏馬力(フランス馬力の意)」として定着しています 2。
SI単位系(ワット)に換算すると、1 PS = 75 kgf·m/s は、約 735.5 W となります 2。
VI. 比較分析:二種類の「馬力」と国際単位系(SI)
この歴史的経緯により、世界には「馬力」と称される、似て非なる二つの工学単位が併存することになりました。
英馬力 (HP) vs. 仏馬力 (PS)
二つの馬力の関係は、4、4、4 に示されている通り、
$1 \text{ HP} \approx 1.0134 \text{ PS}$
$1 \text{ PS} \approx 0.986 \text{ HP}$
となります。
英馬力(HP, 約 745.7 W)は、仏馬力(PS, 約 735.5 W)よりも約 1.34% 大きな仕事率を意味します。
このわずかな差異は、単なる歴史的雑学ではありません。現代においても、特に自動車産業において混乱の原因となっています。伝統的にヤード・ポンド法を重用する英国や米国の自動車メーカーは「HP」を(例:500 HP)、一方でメートル法を基本とする日本やヨーロッパ大陸のメーカーは「PS」を(例:500 PS)用いる傾向があります。カタログスペックを単純比較する際、同じ「500馬力」と書かれていても、その定義が HP なのか PS なのかによって、実際の仕事率(W)は異なる可能性があるため、注意が必要です。
科学の勝利:ワット (W) への統一
英馬力(HP)も仏馬力(PS)も、その定義に「重量(lbf や kgf)」という、地球の重力加速度($g$)に依存する曖昧な単位を含んでいます。現代の精密科学では、このような曖昧さを許容しません。
現代の物理学および国際単位系(SI)において、仕事率の唯一の標準単位は、ジェームズ・ワット自身の名が冠された「ワット(W)」です。ワットの定義は $1 \text{ W} = 1 \text{ N}\cdot\text{m/s}$(1ニュートン・メートル毎秒)であり、重力のような地球上の場所に依存する要素を含まない、普遍的な物理単位です 2。
ここには計測学の歴史における最も興味深い皮肉が隠されています。ジェームズ・ワットは、蒸気機関を売るという実用的な目的のために、あえて「馬」という生物学的基準を用い、抽象的な科学単位を避けました 1。しかし、後世の科学コミュニティは、仕事率の最も厳密な標準単位に、彼自身の名前「ワット(Watt)」を命名したのです。
以下の比較表は、生物学的な「馬」が、いかにして三種類の異なる物理的定義(HP, PS, W)へと分岐し、標準化されていったかを示しています。
| 単位名称 | 記号 | 物理的定義(単位の起源) | SI単位(ワット)への換算 |
| 英馬力 (Imperial Horsepower) | HP | 1 HP = 550 lbf·ft/s 1 | $\approx 745.7 \text{ W}$ 2 |
| 仏馬力 (Metric Horsepower) | PS (CV) | 1 PS = 75 kgf·m/s 2 | $\approx 735.5 \text{ W}$ 2 |
| ワット (Watt) | W | 1 W = 1 N·m/s (SI基本単位) | 1 W |
VII. 結論:「1馬力」は「馬1頭の力」ではない
ご質問「どの馬が基準ですか?」に対する計測学的な最終回答は、以下の通りです。
- 基準となった馬:
ジェームズ・ワットが基準としたのは、特定の1頭の馬や、特定の品種(サラブレッドなど)ではありません。それは、18世紀イギリスの「標準的な荷役馬(draft horse)」1 が、1日の労働を通じて発揮できる仕事を工学的に**モデル化(抽象化)**したものでした。 - 基準の意図:
その基準は、馬の「最大」瞬発力ではなく、経済活動(工場の稼働)の基準となる「持続可能」な平均仕事率の推定値でした。 - 工学的定義 vs. 生物学的現実:
実際の馬の能力は、工学単位の「1馬力」を遥かに超えることがあります 3。したがって、現代の工学単位としての「1馬力(HP または PS)」は、もはや生物学的な馬1頭の力とは一致しません。ユーザーが直観された通り、「馬のサイズ」や個体差は、現代の「馬力」の厳密な定義(1 HP = 550 lbf·ft/s, 1 PS = 75 kgf·m/s)とは一切関係ありません。
「馬力」という言葉は、産業革命期にジェームズ・ワットが蒸気機関の性能を顧客に理解させるために生み出した、歴史的な「マーケティング単位」に端を発します 1。その定義は、英馬力(HP)と仏馬力(PS)という二つの厳密な、しかし互いに異なる物理量へと抽象化・標準化されました 1。
最終的に、この単位の基準は「馬」ではなく、物理法則そのもの(力 × 距離 ÷ 時間)となり、現代の科学では「ワット(W)」という普遍的な単位にその役割を譲っています。「馬力」という言葉は、その偉大な歴史的役割を終え、今はその起源を物語る慣習的な単位として、その名を残しているに過ぎません。
引用文献
- 11月 11, 2025にアクセス、 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A6%AC%E5%8A%9B#:~:text=%E3%81%A7%E3%82%82%E7%94%A8%E3%81%84%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%82-,%E8%8B%B1%E9%A6%AC%E5%8A%9B,ft%2Fs)%20%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82
- 11月 11, 2025にアクセス、 https://zh.wikipedia.org/zh-tw/%E9%A6%AC%E5%8A%9B#:~:text=%E9%A6%AC%E5%8A%9B%E7%9A%84%E5%AE%9A%E7%BE%A9%E6%9C%89%E5%BE%88%E5%A4%9A,%E5%92%8C%E9%A6%AC%E7%9A%84%E8%BC%B8%E5%87%BA%E5%8A%9F%E7%8E%87%E3%80%82
- 馬力(仏馬力)|単位プラス|大日本図書, 11月 11, 2025にアクセス、 https://www.dainippon-tosho.co.jp/unit/list/PS.html#:~:text=%E9%A6%AC%EF%BC%91%E9%A0%AD%E3%81%AE%E4%BB%95%E4%BA%8B%E7%8E%87%E3%81%8C%EF%BC%91%E9%A6%AC%E5%8A%9B%EF%BC%8C%E5%AE%9A%E7%BE%A9,%E9%A6%AC%E5%8A%9B%E3%81%BB%E3%81%A9%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
- ワット(James Watt)により定義された馬力単位 – FNの高校物理, 11月 11, 2025にアクセス、 http://fnorio.com/0096Electromagnetic_unit_system1/Horsepower_defined_by_Watt.html

